食事療法 2:献立や食べ方で気をつけたいポイント

監修:横浜総合病院 糖尿病センター センター長 田中逸先生

1. 食べる順番も大事です

食後血糖値の急激な上昇を抑えるには、食事の最初に食物繊維の多い野菜や海藻、きのこなどの『副菜』や『おかず(たんぱく質食品)』から食べるようにしましょう。
若い人は、食物繊維の多い『副菜』から先に食べる方が、糖質と共に脂質の吸収もゆるやかになるのでおすすめですが、高齢者の場合は、筋肉量低下や低栄養の予防のため、野菜より先にたんぱく質や脂質を摂取した方が良い場合もあります。

田中逸 著:セミナー糖尿病診療アドバイス 日本医事新報社 ,1, 2021

先に野菜、その後肉や魚などの主菜を食べ、最後にパンやご飯などの炭水化物を食べた場合と、その逆をいずれも15~20分かけて食べた場合の食後血糖値のデータです。野菜を先に食べたほうが食後血糖値が緩やかに上昇しています。

野菜を先に食べると食後の血糖上昇が緩やかになります

2. 食物繊維は多いほど血糖改善に効果が高い

食物繊維はヒトの消化酵素では消化されないため、栄養源としては利用されず小腸を経て大腸まで達する食品成分です。食物繊維には以下の効果があります。

  • 整腸効果による便秘予防
  • 糖類の消化・吸収を遅延させ血糖上昇をゆるやかにする効果
  • 血中コレステロールの低下効果
  • カロリーは低いが腹持ちが良い ⇒ 間食の防止につながる

さらに食物繊維は腸内細菌の発酵源になります。食物繊維を多く摂ると食物繊維を発酵できる細菌(善玉菌)が増加し、これらの細菌は酢酸などの短鎖脂肪酸を産生、放出します。放出された短鎖脂肪酸は様々な作用を発揮して血糖値の改善に働きます。

主食で食物繊維を多くとる工夫

穀類の表皮には食物繊維が多く含まれます。白米や白い小麦粉は完全に表皮が削られているので白くなっていますが、これらには食物繊維がほとんど含まれていません。従って表皮が残されている玄米やひきぐるみのそば粉、小麦全粒粉、ライ麦全粒粉などは茶色いままで、食物繊維が多く含まれています。
表は主食1食分当たりのエネルギー量と食物繊維量を示したものです。最低1日に1食は日本そば、ライ麦パン、玄米、もち米玄米、麦ご飯などに変えてみてはいかがでしょうか。

田中逸 著:セミナー糖尿病診療アドバイス 日本医事新報社 ,1, 2021

主食1食分当たりのエネルギー量と食物繊維量

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