本態性振戦の基礎知識

本態性振戦の基礎知識

本態性注)振戦はふるえのみが症状の病気です。逆にいうと、ふるえ以外の症状はみられないのが特徴です。40歳以上では4%1)、65歳以上では5~14%2)3)が本態性振戦の患者であるといわれています。普通、年齢とともに少しずつ悪くなっていきますが、体中がふるえてどうにもならなくなるようなことは、まずありません。

本態性振戦のふるえは軽いうちは問題になりませんが、字が書きづらいとか、手に持ったコップの水がこぼれるなど、日常生活に不自由をきたすようになると治療が必要です。

最近は日常生活を快適に過ごすことの重要性(QOL:Quality of Life〜生活の質)に対する認識が高まり、QOLを改善するための治療が積極的に行なわれるようになってきています。

本態性振戦の原因は、まだよく分かっていません。しかし、精神的に緊張すると症状が悪くなることなどから、興奮したときに働く交感神経が関係しているともいわれています。また、家族や親類にも同じように本態性振戦の人がいる場合は家族性振戦ということもあります。

注)本態性:原因不明であることを意味する言葉です。
1)Dogu O, et al. Neurology. 2003; 61: 1804-1806
2)Moghal S, et al. roepidemiology. 1994; 13: 175-178
3)Louis ED, et al. Mov Disord. 1996; 11: 63-69

本態性振戦のふるえの例(動画)

監修:東京女子医科大学 名誉教授 岩田 誠 先生

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