あなどれない偽薬(プラセボ)効果

偽薬(プラセボ)が効果を発揮することもある

偽薬(プラセボ)効果という言葉を耳にされたことはないでしょうか。プラセボ効果とは有効成分が含まれていないくすりを、本物のくすりとして患者さんに使用してもらったときに、ある程度の割合で治ってしまうことがあります。これはくすりを飲んだという安心感が、体にひそむ自然治癒力を引き出しているとも言われています。

自然治癒力とは、からだが自分自身を癒す力のことで、ケガをしたところにかさぶたができたり、ウイルスや細菌感染による発熱が治まるのも自然治癒力によるものと考えられています。では、プラセボがくすりの替わりになるのかといえば、それは違います。偽薬がくすりの替わりになるということではありません。プラセボ効果は人によって差が大きいのに対し、くすりは多くの患者に安定して高い効果を発揮するように作られています。

実際、新薬の臨床試験では、治験薬の効果を調べるために偽薬が用いられることもあります。新薬は、通常はすでにあるくすりのなかでよく似た有効成分のものと比較して、くすりの効果を確かめるやり方が一般的です。しかし、治験薬が今までにないタイプのものである場合には、比較すべき適当な対照薬がないことから、外観や味を治験薬とまったく同じにしたプラセボを作り、比較試験を行います。

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