公費医療との併用

※本記事は2020年2月28日現在のものです。

公費負担がある場合の自己負担上限額と世帯合算

保険優先の公費医療のときの自己負担限度額

福祉や疾病対策などを目的に、対象となる医療費の全額や一部を国や地方自治体が負担する医療を「公費医療」といいます。このサイトで紹介している難病や精神通院医療(自立支援医療)に対する医療費助成も公費医療の一部です。公費医療には、医療保険は使われず、対象となる医療費のすべてを原則公費が負担する「公費優先」と、まず医療保険が使われ、患者の一部負担金などの一部または全額を公費が負担する「保険優先」があり、ここでは「保険優先」の公費医療について紹介します。

◆保険優先の公費負担医療の例
  • 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による「結核患者の適正医療」「結核患者の入院」
  • 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律による「措置入院」
  • 障害者総合支援法による「精神通院医療」「更生医療」「育成医療」「療養介護医療及び基準該当療養介護医療」

保険優先の公費医療の場合、高額療養費の自己負担限度額は、一般的な医療(医療保険単独の医療)の場合と異なり所得は関係なく設定されています。ただし、保険優先の公費医療のなかでも、指定難病、小児慢性特定疾病、特定疾患治療研究事業()に係る療養の自己負担限度額は、70歳未満、70歳以上とも医療保険単独の場合と同じです。
高額長期疾病の特例の場合の高額療養費は、「高額長期疾病の特例」で紹介します。

  • スモン、プリオン病のうちヒト由来乾燥硬膜移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病、難治性肝炎のうち劇症肝炎(平成26年までに認定された人の継続のみ)、重症急性膵炎(平成26年までに認定された人の継続のみ)
社労士「公費優先の公費医療と保険優先の公費医療があります」大住家 祖母「指定難病の私は保険優先の公費医療を受けてるのね」

社会保険研究所「公費医療・難病医療ガイド(平成29年4月版):公費医療と保険診療」より作成

◆保険優先の公費負担医療の場合の自己負担限度額
70歳未満
80,100円+(かかった医療費-267,000円)×1%
70歳以上
外来18,000円 入院57,600円
(70歳未満、70歳以上いずれも、所得は関係ありません)

大住家の「子」が自立支援医療(精神通院医療)で1カ月に40万円の医療費がかかった場合

保険優先の公費医療と高額療養費の関係のイメージ

保険優先の公費医療と高額療養費の関係のイメージ

社会保険研究所「公費医療・難病医療ガイド(平成29年4月版):公費医療と高額療養費の関係」より作成

指定難病の医療費助成を受けている方などは、指定難病の治療に関して負担上限月額があり、それ以上の負担はありませんが、窓口で支払ったり、払い戻されたりというお金の動きがないだけで、加入する医療保険から高額療養費の支給を受けていることになります。ただし、「多数回該当」では、入院のみを高額療養費支給回数としてカウントします。

公費の費用徴収部分(患者の費用の負担)があれば世帯合算できます

公費負担医療であっても、患者の負担がゼロではなく、公費部分の一部を徴収される(患者が負担する)場合があります。費用の徴収(患者の負担)があれば、費用徴収部分が世帯合算の対象になります。

ただし、一部負担金相当額が21,000円以上でなければ対象とはならないなど条件があり、計算方法が複雑ですので、世帯内の家族が同時に高額の医療費がかかったときは、加入している医療保険にお問い合わせください。

社労士「保険優先の公費医療の負担分も、世帯合算できる場合があります」

社会保険研究所「公費医療・難病医療ガイド(平成29年4月版):公費医療と高額療養費の関係」より作成

保険優先の公費医療の費用負担と世帯合算のイメージ

保険優先の公費医療の費用負担と世帯合算のイメージ

社会保険研究所「公費医療・難病医療ガイド(平成29年4月版):公費医療と高額療養費の関係」より作成


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