負担上限月額と1割負担

※本記事は2020年2月28日現在のものです。

医療費の助成は、どのように行われるのでしょうか?

助成を受ける場合でも、一定の自己負担は必要です

精神通院医療の助成を受ける人は、受診のたびに医療費の1割を自己負担して病院や診療所などへ支払います。また、この自己負担が多すぎると大変なため、負担上限月額が定められています。負担上限月額は、下の表のとおり、「世帯」の所得区分によって決まります。

社労士「医療費の自己負担は1割に下がりますよ」大住家 母「負担の上限もあるのね」

厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」より作成

精神通院医療の負担上限月額

所得区分(世帯単位) 負担上限月額
生活保護 本人年収または障害児の保護者の年収 0円
低所得1 市町村民税非課税(80万円以下) 2,500円
低所得2 市町村民税非課税 5,000円
中間所得1 市町村民税33,000円未満(低所得者1除く) 総医療費の1割又は高額療養費の自己負担限度額(高額療養費を参照)
中間所得2 市町村民税33,000円以上235,000円未満
一定所得以上 市町村民税235,000円以上 対象外

厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」より作成

ただし、所得が多い一定所得以上の世帯では、精神通院医療の対象外となります。また、所得がやや多い中間所得の世帯では、負担上限月額が設けられていませんので、高額療養費の限度額まで1割を負担しなければなりません。
なお、継続して医療費負担が発生する場合、「重度かつ継続」と認められた人(※)は、一定所得以上や中間所得の世帯でも、負担上限月額が定められています。

  • 「重度かつ継続」の対象者は、次のいずれかに該当する人です。

    ①「重度かつ継続」の対象疾患の人(対象となる障害と医療の範囲を参照)
    ②精神医療に3年以上従事した医師が、通院により計画的集中的な治療を継続する必要があると判断した場合
    ③高額療養費の「多数回該当」となる場合(高額療養費制度を参照)

重度かつ継続の負担上限月額(2020年2月28日現在)

所得区分(世帯単位) 負担上限月額<重度かつ継続>
中間所得1 市町村民税33,000円未満 5,000円
中間所得2 市町村民税33,000円以上235,000円未満 10,000円
一定所得以上 市町村民税235,000円以上 20,000円

厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」より作成

負担上限月額は、世帯の所得で決まりますが、精神通院医療では原則として、精神通院医療の助成を受ける人と同じ医療保険に加入する人を「世帯」として扱います。

以下の大住家のように、祖父、祖母、父、母、子の5人が一緒に暮らしていた場合、住民票ではこの5人が同じ世帯ですが、祖父は後期高齢者医療制度、祖母と父は国民健康保険、母は被用者保険(協会けんぽ)の被保険者、子は被用者保険(協会けんぽ)の被扶養者ですので、医療保険上では祖母と父、母と子が同一世帯となります。

精神通院医療の「世帯」イメージ

精神通院医療の「世帯」イメージ

○厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」より作成
○厚生労働省「難病の患者に対する医療等に関する法律の概要」より作成

負担上限月額に達したあとは自己負担がありません

また、負担上限月額は、受診した複数の指定自立支援医療機関での自己負担額を合算して適用されます。そのため受診時には受給者証とともに「自己負担上限額管理票」をあわせて提示します。その月に支払った1割の自己負担が負担上限月額に達した場合、そのことを指定自立支援医療機関に確認してもらえば、その月はそれ以上の自己負担はありません。

  • お住まいの都道府県・市町村によっては、自己負担に対する独自の助成制度がある場合もあります。都道府県・市町村の担当窓口にお問い合わせください。

複数の医療機関での累積・合算例

複数の医療機関での累積・合算例

厚生労働省「難病の患者に対する医療等に関する法律の概要」より作成


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