ふるえの原因

ふるえには生理的なもののほかに、いろいろな病気によって引き起こされるものがあります。代表的なものは、本態性注)振戦、パーキンソン病、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)、アルコール依存症などです。これらのうち、本態性振戦とパーキンソン病は特に患者さんも多く、ふるえの原因のかなりの部分を占めるといわれています。医師はまずこれらの病気を見分けてから治療を始めます。

注)本態性:原因不明であることを意味する言葉です。

生理的振戦

ふるえのうち一番多いものが生理的振戦(せいりてきしんせん)です。精神的緊張があるときや寒いとき、物を持ったときに細かくふるえる状態は誰にでもみられるものですから、これを病気と考えて悩むことはありません。また日常生活に支障がなければ治療の必要はないでしょう。

甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)

バセドウ病とも言います。のどの近くにある甲状腺が過剰に働いて甲状腺ホルモンを作りすぎるために起きる病気です。手先に細かいふるえがみられますが、その他の主な症状として、発汗、頻脈(脈が速くなる状態)、イライラ、軽度の眼球突出などがみられます。

アルコール依存症

以前は慢性アルコール中毒と呼ばれていました。俗にはアル中と呼ばれています。アルコールの常習飲酒の段階を通りこすと、アルコールが切れてきたときにふるえがでてきます。アルコール依存症の期間が長引いてくると常に手がふるえるようになってしまいます。

本態性振戦 パーキンソン病

このふたつの病気はふるえを起こす病気の中でも特に多くみられ、きちんと見分ける必要があります。これ以降詳しく説明します。

監修:東京女子医科大学 名誉教授 岩田 誠 先生

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