運動療法 1:運動量のめやすと実践法
監修:横浜総合病院 糖尿病センター センター長 田中逸先生
まず身体を動かすことから
2型糖尿病の治療として行う運動には、有酸素運動とレジスタンス運動(筋力トレーニング)があります。有酸素運動の目的は血糖値低下とインスリン感受性の改善(インスリンが効きやすくなる)です。レジスタンス運動はこれに加えて、筋肉量と筋力の維持または増加も可能です。
毎日に運動を取り入れる計画を
運動習慣のない人は①~④を目安として計画を立ててみましょう。運動療法を禁止・制限した方がよい場合もあるので、運動内容についてはかかりつけの先生にご相談ください。
なお、1日に合計1時間以上の歩行や立ち仕事がある場合は、最低限の有酸素運動はすでに実行できています。
①1回の運動は20分以上継続
②有酸素運動は中等の強度で週に合計150分以上、運動回数は週に3回以上、運動しない日が2日以上続かないようにする
③歩行運動を行う場合は1回15~30分、1日2回、1日の合計歩数は約6000~10000歩
④運動しない日でも日常生活で通勤時の歩行や階段昇降などを取り入れる
⑤レジスタンス運動は連続しない日程で週に2~3回
田中逸 著:セミナー糖尿病診療アドバイス 日本医事新報社 ,1, 2021
立って行う家事も有酸素運動のひとつ
運動するための時間がなかなかとれない人は、日常の生活の中で身体を動かすことを意識しましょう。
日常の立って行う家事仕事も、下の表のように歩行と同じ程度の運動強度です。ほんの些細な事でも、十分にエネルギーを消費して、血糖値のコントロールに有効です。
Mets(メッツ)とは運動や身体活動の強度の単位です。安静時(静かに座っている状態)を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかを示します。
まずは、取り組めそうな簡単なことから。座っている時間を1日30~60分程度減らすことからはじめましょう!