シックデイとは?
監修:順天堂大学 名誉教授 河盛 隆造 先生
シックデイのときの対応と医療機関を受診する目安
シックデイとは、どんな状態のこと?
糖尿病患者さんが治療中に発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などのために食事がとれず、血糖値が乱れやすくなった状態をシックデイ(体調の悪い日)と呼びます。シックデイでは、日頃の血糖マネジメントが良好でも、著しい高血糖やケトアシドーシスになることがあります。また、通常の食事ができない時に、いつも通りに薬を飲んだり注射をしたりすると、低血糖を起こすことがあります。糖尿病患者さんは、風邪や下痢など日常的にかかることが多い病気でも注意する必要があるのです。
シックデイに注意すべき状態
- 風邪やインフルエンザなどの感染症にかかったとき
- 熱が出た時
- 下痢、嘔吐の症状があるとき
- 食欲がないとき
シックデイのときの対応、水分補給、食事のポイント
シックデイのときは、水分や食事をできるだけ摂取して脱水を防ぐことが大切です。絶食はしないようにしましょう。薬を服用している場合は、食事の摂取状況に応じて薬の量の調整が必要となることもあります。どのように対応すべきか判断に迷うときは、必ず医療機関に連絡しましょう。
水分補給
- 1日1~1.5Lの水分を摂る
- こまめに水を飲む
- 体が温まるスープや味噌汁もよい
食事
- おかゆやうどん、ジュースなど消化のよい食品で糖分を摂取する
- 食欲がなくても絶食しない
シックデイのときの対応
- どんな症状がいつから続いているか、食事はどのくらい摂れているか、血糖値の変化などを医療機関に伝えられるように記録しておくとよいでしょう。
- 糖尿病薬の種類によって、対応が異なります。処方されたときに確認しておきましょう。
- 服薬中の糖尿病治療薬によっては、脱水状態から乳酸アシドーシスが起こりやすくなりますので、服薬を中止する必要があります。
シックデイで医療機関に相談すべき場合とは
発熱や下痢、嘔吐などの症状が強いときや食事をほとんど摂れないとき、高血糖が続くときは速やかに医療機関に相談しましょう。早急に入院治療が必要な場合もあるので、ためらわず相談することが大切です。相談の際には、症状の経過、食事量や血糖値の変化など、記録をもとに伝えましょう。
シックデイで医療機関に相談すべき状態
- 高い熱が続くとき
- 下痢や嘔吐などの消化器症状が強いとき
- 食事がまったく摂れない、または著しく少ないとき
- 治療薬の対応が分からないとき
- 高血糖(350mg/dL以上)が続くとき
- 意識状態の悪化がみられるとき
[参考にした文献]
日本糖尿病学会 編・著:糖尿病診療ガイドライン 2019
日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療ガイド2020-2021
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター, シックデイ(https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/060/06.html)