運動療法 2:始めよう!レジスタンス運動

監修:横浜総合病院 糖尿病センター センター長 田中逸先生

血糖マネジメントに有効な歩き方の実践を

若い人でさえ運動量と歩行量が急に減るとわずか2週間で体重は変化しないものの体脂肪と肝内脂肪が増加し、筋肉が落ちてインスリン感受性が低下(インスリンの効きが悪くなる)します。血糖マネジメントに有効な、正しい歩き方を実践しましょう。

正しい歩き方

  • しっかり腕を振る
  • 20mぐらい前を向き、姿勢よく
  • 歩幅を大きく、かかとから着地してつま先で蹴る

 

正しくない例:
スマホを見ながらのうつむき歩行

スマホを見ながらの歩行は前が見えず危ないです。速度が遅く、十分にエネルギーを使うこともできません。

自宅でできるレジスタンス運動

自宅で簡単に行えるレジスタンス運動を生活に取り入れることも大切です。準備運動としてストレッチを加えるとなおよいです。
自宅での主なレジスタンス運動は以下のようなものがあります。できることから少しずつ、立って行うことがむずかしい場合は椅子に座って行いましょう。運動療法を禁止・制限した方がよい場合もあるので、運動内容についてはかかりつけの先生にご相談ください。

最初は5回~10回程度。慣れてきたら15回、20回と増やしていきましょう。
疲れたり、きついと思われたところでやめても構いません。

●スクワット

両足を肩幅に広げて、両手を肩幅でテーブルにつけます。

後ろに転ばないように注意しましょう

後ろに転ばないように注意しながら、ゆっくり腰を落としておしりを下げます。おしりがあまり下げられない場合は無理しないで可能な位置で行いましょう。
そして足の裏全体で体重を支えていることを感じながらゆっくり立ち上がります。
後ろに転ばないか不安な方は後ろに椅子を置いて椅子からゆっくり立ち上がってゆっくり座る運動でもよいです。

後ろに転ばないように注意しましょう

●つまさき上げ・かかと上げ

壁に対し軽く肘が曲がる位置に立ち、壁と体を平行にします。
両手を壁につき、両足のかかとをゆっくり上げてつま先で立ちます。椅子に座って行う場合も同じようにかかとを上げます。

次にかかとをゆっくり降ろし、今度は両足のつま先をゆっくり上げてかかとで立ちます。
最初はこの運動を5回から10回程度行います。

●腹筋運動

椅子に深く座って、両手を頭の後ろで組みます。

片側の肘と反対側の膝を近づけます。反対側も同じように行います。
体が硬い場合は肘と膝がなかなか近づきませんが、できる範囲で良いです。

田中逸 著:セミナー糖尿病診療アドバイス 日本医事新報社 ,1, 2021

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