高血圧と診断されたら

監修:順天堂大学 名誉教授 河盛 隆造 先生

2型糖尿病に高血圧が併存した場合に注意すべきこととは

2型糖尿病の患者さんは血圧にも注意が必要

2型糖尿病の患者さんは、高血圧を併存しやすいことがわかっています。
肥満やインスリン抵抗性(肝臓や筋肉でインスリンが効きにくい状態)は2型糖尿病、高血圧の共通の背景因子だからです。
また、高血圧と腎臓は相互に密接に関係し、高血圧は腎症の原因となり、また腎症になると高血圧が重症化します。2型糖尿病による高血糖の状態が続くと、糖尿病腎症や糖尿病網膜症、糖尿病神経障害などの合併症を発症するリスクも高まります。

血圧130/80mmHg未満を目標に

糖尿病の患者さんの場合は正常・正常高値血圧でも動脈硬化や合併症のリスクが高まるので、早めに治療を開始することが大切です。合併症予防のため、糖尿病に併存する高血圧では130/80mmHg未満という比較的厳しい降圧目標が設定されています。

糖尿病患者の降圧目標

2型糖尿病・高血圧治療の基本は、生活習慣の見直し

2型糖尿病と同様に、高血圧でも食事療法や運動療法が治療の基本になります。高血圧と診断されたら、まずは減塩や適度な運動などの生活習慣の見直しに取り組むことが大切です。生活習慣を見直しても血圧が下がらなければ、主治医の先生とよく相談して降圧薬を使った治療を行いながら降圧目標を目指しましょう。

血圧を下げるための生活習慣の見直しのポイント

1

① 減塩する (食塩は1日6g未満)

2

② 野菜・果物、魚(多価不飽和脂肪酸)、低脂肪乳製品を積極的に摂る

3

③ 肉(飽和脂肪酸)、コレステロールの摂取を控える

4

④ 適正体重を維持する(BMI*25未満)*BMI=体重÷(身長)2

5

⑤ 適度に運動する(早歩きなどを毎日30分、または週180分以上行う)

6

⑥ お酒は控えめにする(アルコール換算で1日30mL(日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、ワインなら200mL)以内)

7

⑦ 禁煙する

減塩のコツ

  • 調味料を少なめにし、味付けには香辛料や柑橘類の酸味を活用する
  • だしの旨味を活かし、食材本来の味を楽しむ
  • 漬物や梅干し、加工食品(ハム、練り物、干物など)はなるべく少なくする
  • 麺類のスープは飲まない
  • 汁物は1日1杯までにする
  • インスタント食品はできるだけ控える
  • 食べる量が多いと塩分摂取量も増えるので、過食をしない

[参考にした文献]
日本糖尿病学会 編・著:糖尿病診療ガイドライン 2019
日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療ガイド2020-2021
日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会 編:高血圧治療ガイドライン2019
田中正巳, 伊藤裕: 糖尿病 57, 492-494, 2014

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