衣食住の工夫:住まい

監修 村田美穂先生

パーキンソン病は、症状により動くと危ないという理由で動かないでいると、運動機能が低下していきます。運動機能を維持するためにも、安全で動きやすい住宅環境を整えましょう。住宅改修にあたっては、画一的なバリアフリー化ではパーキンソン病の患者さんにはかえって使いにくいこともあります。このような細かい点は、専門家ではなければなかなか行き届きません。工事を計画する時には、理学療法士や作業療法士などの専門家に相談することをお勧めします。

患者さんが歩いて移動できる場合には、手すり、滑り止めなどを設けて、すくみ足の補助や転倒防止に役立てます。玄関、トイレ、浴室などは同じフロアで無理なく行き来できるようにするとともに、手すりを設置します。家事の工夫では、椅子に座って炊事ができるようにする、物干しを低くするなどの改修を行います。

歩いて移動する場合の住宅改修

玄関

玄関

玄関の上がりかまちが高いと足をとられやすいので、踏み台を置いて段差を減らし、斜めに手すりをつける。
靴の着脱でバランスを崩さないよう、土間に椅子を置くと便利。

廊下・階段

廊下・階段

廊下と階段には手すりを取り付ける。
手すりの高さは使う人の大腿骨の上端あたりがつかまりやすい。

トイレ

トイレ

トイレにも手すりを設置する。
便器わきには、はね上げ式の手すりが便利。
扉は引き戸のほうが転倒しにくく、万が一トイレ内で転んだ場合や、車椅子になった場合の対応も可能。

浴室

浴室

浴槽まわりや出入り口に手すりをつけ、すべり止めマットや安定した椅子を用意する。
脱衣場にも手すりをつけ、椅子を置いておくとよい。

村田美穂監修:スーパー図解パーキンソン病. 法研, 東京, p143, 2014

患者さんが家の中で転ぶ回数が増えて来たら、車いすの使用を検討しましょう。車いすを使うスペースが確保できない場合には、ベッド、ポータブルトイレを設置し、入浴やその他の移動には訪問や通所サービスの利用を考えましょう。

車いすの導入では、①段差解消と介助スペース確保、②患者さんが外に出る手段の確保、③トイレ、入浴の対応の3つを中心に改修を考えます。

車椅子を使用する場合の住宅改修

ベッド

ベッド

移動しやすい車椅子

移動しやすい車椅子

トイレ

トイレ

玄関

玄関

村田美穂監修:スーパー図解パーキンソン病. 法研, 東京, p144, 2014

住宅改修の費用は、介護保険や自治体ごとの助成制度によって支援を受けられるので、病院のソーシャルワーカーやお住まいの市区町村の関係窓口で相談してみましょう。