料理について、患者さんが悩んでいることとは?[オンライン座談会・後編]lみんなの工夫

料理について、患者さんが悩んでいることとは?[オンライン座談会・後編]lみんなの工夫

医師監修:東京医科大学 神経学分野 准教授 赫(てらし) 寛雄 先生

パーキンソン病患者さんならではの料理の悩みや工夫を、オンライン座談会で伺ったレポートの後編。
今回は料理を続けるモチベーション、そして料理以外で行っているリハビリに関してお話しいただきました。

億劫になりがちな毎日の料理やリハビリですが、患者さんたちはどのように工夫されているのでしょうか。ぜひ参考にしてみてください。

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1.料理が億劫になるとき、モチベーションはどのように維持していますか?

料理が億劫になるとき、モチベーションはどのように維持していますか?

みんなの工夫

  • 料理は趣味だと思って楽しむ
  • 「友達にプレゼントする」など目標を決める
  • 好きな音楽をかけて、体を動きやすくする

ヨシミンさん:キッチンにいて体がだるくなるとリビングに行って休む、よくなってきたらキッチンに戻る、ということを繰り返していると、一日中食事の用意をしている、なんてこともあって…。

以前のようにできないもどかしさは料理以外のあらゆることにも感じていますが、前に入院をして家に戻ってきたときは、料理ができることがうれしくて。これからは義務ではなく、趣味だと思って料理をしようと思いました。

RENさん:もどかしい現状を受け入れないといけないという葛藤はありますよね。
私はお菓子作りが好きなので「友達の誕生日に作ってあげる」などと目標を決めて頑張っています。何事もまずは挑戦してみる方で、便秘にいいと聞いた甘酒も自分で作って飲んでいます。

ヨシミンさん:私は料理をするときも、好きな音楽にのってするようにしています。そうすると、気分も上がるし、体が動きにくいときでもなんだか動きやすくなる気がするんですよ。キッチンに立っているときも、横にステップを踏んだりして、体を小まめに動かすようにしています。

山口さん:私は時々、同じ病気の皆さんとオンラインでつながって声を掛け合いながら、一緒に料理をしています。それぞれの自宅で同時に簡単なメニューを作るのですが、途中でオフになっても口は動くので、みんなとおしゃべりしているだけでも気が紛れます。

人にごちそうするのも趣味なので、友達を招いてみんなで食卓を囲むこともあります。人と一緒だと、やっぱり楽しいですよね。できるだけ長く元気でいるためにも、食べることの幸せや楽しさを大切にしながら、しっかり栄養をとるように心掛けています。

※オン・オフとは
薬の効果が途切れる時間帯が出ることをウェアリング・オフ現象と呼び、省略して「オフ」と呼ばれています。反対に薬が効いている時間帯は「オン」と呼ばれています。

パーキンソン病 用語集

医師からのアドバイス

パーキンソン病では、気分の落ち込みや不安・意欲の低下、興味の減退といった気分の障害が認められます。これらは、お薬が切れている時間帯(オフのとき)に、より顕著となります。そのために、買い物や料理が億劫に感じたりすることも少なくないと考えます。薬の調節も大切ですが、目標を決めて行動したり、音楽を聞いたりして、楽しみながら体を動かすことは、モチベーションのアップにとても大切なことです。

特に料理は、体を動かすといった運動のリハビリになるだけでなく、「メニューや手順を考える」「作業を順序立てて行う」など頭を使うことが多いので、認知に対するリハビリにもなります。料理はオンの状態で行うのが理想です。患者さんの中には、料理の手際が悪くなったと感じたり、同時に複数の作業を行うと混乱してしまう方もいるかと思います。料理を始める前に、あらかじめ手順を決めてメモしておき、一つ一つ確認しながら作業を進めることをおすすめします。(赫先生)

2.料理のほかにも、取り入れているリハビリがあれば教えてください

料理のほかにも、取り入れているリハビリがあれば教えてください

みんなの工夫

  • 料理以外にも、テーブルを拭いたり、家事をするだけで運動になる
  • すき間時間にもステップや屈伸などで足を小まめに動かす
  • できないときでも「できること」を諦めない
●自宅などで日常的に行っているリハビリ

RENさん:この病気になったばかりのころ、主治医に「リハビリは通常の家事をしていれば十分」と言われたことがありました。掃除機をかける、テーブルを拭く、料理をする、洗濯物を干すなど、家事だけでもいろいろな動きがありますよね。そのような日常の動きから、毎日のリハビリにつなげられたらいいんじゃないかなと思います。

Makiさん:私は毎日している家事の中で、少しでも動きを多くしています。料理をしている間に、ステップの練習をしたり足踏みをしたり。

私は体が動かない時間も多いので、動けるときはどんな時間も無駄にしないようにと思って過ごしていますね。自宅では自分で決めた、体幹の運動などもしていますよ。

RENさん:家事以外なら、毎日、午前と午後に犬の散歩をするのが、とてもよいリハビリになっています。

レオさん:私は自宅でもテレビで流れているラジオ体操を毎朝しています。

ほかにも、パーキンソンダンスを教えてくれるDVDも購入して毎日やっていますが、テレビ画面の先生と向かい合いながら音楽に合わせて踊るのが楽しいです。

ヨシミンさん:私もラジオ体操は毎日しています。インターネットで見るリハビリ動画の中には、1回だけやり方を見せてくれて「これを10回やってください」というようなものが多いですけど、やっぱり最初から最後まで先生と一緒にできるものがいいですね。

るーみんさん:私が分担してやっている家事は料理だけですが、毎日していればリハビリにもなるし、料理や掃除は男の人にとっても取り組みやすい家事なのではないかと思います。

医師からのアドバイス

パーキンソン病の患者さんは、考えている以上に身体活動量が低下しています。
皆さんのおっしゃる通り、料理や掃除といった家事の中で、あるいは日課としているラジオ体操を利用して、身体活動量を上げる工夫をすることはとても大切なことです。

運動療法(リハビリ)は、薬物療法と車の両輪のような関係で、その活用により運動機能の維持や改善だけでなく、日常生活の質の向上にもつながります。さらには、認知機能、うつや不安といった気分の障害、睡眠障害などの運動以外の症状に対する効果も期待できます。まずは楽しめる範囲で、生活の中に運動を取り入れてみるといいと思います。活動的なライフスタイルを送る、運動を習慣化することが重要です。

身近に取り入れられるものとして、ウォーキングをおすすめします。長い距離や時間をかけなくてもいいので、家の周りを1周歩いてみて、調子がよければもう1周、体調が悪ければ短めに終わらせるなど、臨機応変にしていくと続けやすいと思います。

パーキンソン病の患者さんはどうしても動きが小さくなりがちなので、大股で手をしっかり振ることを意識するといいでしょう。短い距離でも、背筋を伸ばしてよい姿勢で歩くことを心がけてみてください。ご家族と一緒に歩いたりして、周りの景色を見ながら楽しむと続けやすいかもしれませんね。(赫先生)

●週に何回かしている特別なリハビリ

レオさん:私は週3回パーキンソン病患者さんが集まるデイサービスに通っていて、体操や口腔体操をしています。

るーみんさん:今は週に2回、40分程度の訪問リハビリで、筋トレをしています。晴れている日には、電動アシストの自転車で1時間ぐらいのところまで出かけていって、太極拳もしていますよ。ただ、夏の間は自転車で通うのは暑くて難しいので、電車で通っています。

RENさん:この病気にはボクシングもいいと聞いて、患者さん専門に教えてくれるところに通っています。 2年ほど通っていますが、同じような思いで通っている患者さんも多いので励みになります。

Makiさん:パーキンソン病には卓球がいいと聞いて、通っています。

虹の谷さん:私も診断された直後はリハビリに行っていたのですが、仕事をしていることもあってなかなか都合が合わず、行く予定が1カ月延び、2カ月延び、となって、最近は行けていません。

リハビリの本を買って、自宅でもできるようにはしているのですが、「しなきゃな」と思いながらもできていない状況です。卓球はすごくいいと聞きましたが、私はもともと球技が得意じゃなくて…。趣味も座ってするようなことが多いので、動くことは自分の人生の課題だと思っています。

Makiさん:仕事をしているうちのリハビリは、なかなか難しいですよね。働いていたころは私もできていませんでした。リハビリや運動をしっかりするようになったのは、仕事を辞めてからでした。

医師からのアドバイス

さまざまなエクササイズが、特に歩行や身体のバランスの改善に有効であると言われており、海外ではダンスや太極拳などの有用性も報告されています。いろいろなものに挑戦して、自分に合ったものを見つけて趣味にすることができれば、楽しみながら長く続けることができます。また、何人かの集団で運動をすることもモチベーションのアップにつながるでしょう。

仕事などで定期的にリハビリに通うのが難しい患者さんでも、「仕事に行くこと自体がリハビリになっている」と考え、リハビリに通えないことを負担に思う必要はありません。仕事を続ける中で「エレベーターを使わず階段を登る」、「電車の中では座らずに立つ」、「1駅分歩く」など、すき間時間を利用して少しでも体を動かす工夫をするといいと思います。(赫先生)

まとめ

料理は運動機能と認知機能の両方に働きかけられるリハビリです。楽しんで行う工夫がたくさん出てきましたね。
また、リハビリでは毎日続けることが大事ということで、ラジオ体操を行っている方が非常に多いのも印象的でした。

パーキンソン病は毎日の継続的なリハビリが数年後の生活にも影響してきます。特別なことをせず、家事や散歩など日常の生活に取り入れるリバビリが長く続けるにはコツなのかもしれませんね。

医師からのメッセージ

料理のときなど、日常生活でお困りのことがあれば、まずは主治医に相談してみてください。外来をしていると、「先生にはこれまで相談したことはないのですが、実は…」と、思い悩んだ末、お話しされる患者さんがいらっしゃいます。困っていることがあれば率直に、早めに教えていただけたほうが、その後の治療に役立ちます。

患者さんが解決できない問題だと思っていても、実際にはそうでない場合もあります。医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、医療ソーシャルワーカーなどが、解決とはいかなくても、改善策をお示しできる可能性があります。ぜひ気軽に相談してみてください。(赫先生)

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