リハビリテーションについて相談したい：理学療法士（PT）、作業療法士（OT）
監修 独立行政法人国立病院機構 相模原病院 神経内科 医長 長谷川一子先生
理学療法士（PT）
「理学療法」とは、「身体に障害のある者に対し、おもにその基本的動作能力の回復を図るため、治療のための体操とその他の運動を行うほか、電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理療法を行うこと」をいいます（理学療法士及び作業療法士法第1章総則第2条1）。
理学療法士は、医師の指示の下でリハビリテーションや物理療法を行い、運動能力の回復を支援する専門職です。英語ではPhysical Therapist（フィジカルセラピスト）というため、頭文字からPT（ピーティー）とも呼ばれています。
理学療法士（PT）は、立つ、座る、歩くなどの基本的な動作に問題が起きているようなとき、体の動きの回復・維持のために運動療法（医学的リハビリテーション）を行います。基本的な筋・骨格を動かす大きな動作に着目した運動プログラムの提供や、電気医療機器を用いた物理療法も行います。患者さんの状態に合わせた日常生活をできる限り送っていただけるように支援します。
作業療法士（OT）
「作業療法」とは、「身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせること」をいいます（理学療法士及び作業療法士法第1章総則第2条2）。
作業療法士は、医師の指示の下で体や精神に障害のある方に、おもにその応用的な動作能力又は社会的な適応能力の回復を支援する専門職です。英語ではOccupational-Therapist（オキュペイショナルセラピスト）というため、頭文字からOT（オーティー）とも呼ばれています。
作業療法士（OT）は、指を動かす、食事をする、入浴をするなどの日常生活を送るための細かい動きに着目し、生活ができるようにする支援を専門としています。また、機能を失ってしまう悲しみや悩みに対して精神的な回復支援も行います。
理学療法士（PT）は基本的動作能力の回復を専門に行い、作業療法士（OT）は日常生活を送るための機能回復と精神的な回復支援も行ないます。
パーキンソン病の患者さん、ご家族の方へ
理学療法士/作業療法士と相談しながら運動を生活に取り入れ、楽しく続けていきましょう
パーキンソン病では、次第に体の動きが小さくなったり、身体が固くなり動かしにくくなったりします。日頃から運動を取り入れると、症状を維持・改善することができます1，2）。医師に相談し、運動を生活に積極的に取り入れ、楽しく続けていきましょう。
手足の振るえや不随意運動など、手先の作業に問題を生じる場合には、着衣や家事などの日常の動作を行うために工夫が必要です。患者さんの生活の中で改善したい症状に優先順位をつけて、生活の維持に近づけるよう支援します。また、社会的に患者さんの生活を維持・向上していけるよう心の支援も行います。
病院やクリニックへの来院が難しい場合は、訪問リハビリテーションを検討することができます。また、日常生活をより快適にするためのアドバイスも行います。地域のサークル、デイサービスやコミュニティ支援団体などで、運動療法プログラムを提供していることもあります。
病院やクリニックだけでなく、訪問リハビリテーションや地域のサークルなど、患者さんのニーズに合わせたさまざまな運動療法の場が広がってきています。
病院やクリニックだけでなく、訪問リハビリテーションや地域のサークルなど、さまざまな患者さんのニーズに合わせた運動療法の場が広がってきています。
1）Goodwin VA et al., Mov Disord .2008, 23(5)：631-640.
2）Comella CL et al.,Neurology.1994,44（3Pt1）：376-378．